おいたち⑧加配が急に外れた日
幼稚園に少しずつなじむと同時に、加配の先生との距離が近くなり過ぎたケン。他の先生の言うことはきちんと聞くのに、加配の先生の言うことに対してはごねてみたり、ふざけてみたり。変な甘えがでてきていました。
加配の先生は若いけれど熱心な、真摯に子供のことを考えて下さっているのが伝わる、それでいてユーモラスで笑顔の絶えない先生。
その先生が、帰りの時間ごとに、「今日もやっぱり…」とケンのその態度を説明してくれました。
ある週の月曜日、登園するといつも玄関先にお迎えに出てくれているその先生がおられませんでした。代わりに担任の先生がいました。そしてその日の帰りにも、いつも話をしてくれている先生が見当たりませんでした。?と思いながらもそのまま帰宅。帰り道にケンが、「今日は変なんだよ…○○先生がいなかったんだよ」と、加配の先生が今日はいなかったことを報告してくれました。?と思いながらも、次の日にそのまま登園。やはり先生は姿を見せませんでした。翌週の月曜日も、その翌日も、先生はおらず、そのまま、二度とその先生に登園やお迎えの時に遭うことはありませんでした。
「何も説明なかったけど、加配が外れたってことかな?」と。もしかしたら私が何かの説明を聞き逃したのかもしれません。この気持ちがあった為に、園に確かめることもなんとなく後回しになっていました。
まもなく個人懇談があり、その場で、担任の先生から、「加配の先生の苦渋の判断で、外れた方が伸びるのではということになりました」と。他に加配の必要性の生じたお子さんがいて、そちらのクラスに入っているとうかがいました。やっぱりそうだったのかと納得。ただこの1週間ほどで、ケンに目に見える変化が起こっていました。
朝、機嫌よく手を振って登園。帰りに、「今日はこれこれを一人で頑張ってみたらできたんだよ。頑張ってしたらできるってわかったよ」と報告してくれることも多くなりました。なた降園後、放課後遊びで2時間、他の子供たちと共に遊ぶようにもなりました。子供たちと一緒に楽しそうに園庭を走り回っているケンの姿はとても新鮮で嬉しいものでした。
ここから、ケンは大きく成長していくことになりました。